生きた魚をエサにして、フィッシュイーターと呼ばれる肉食魚の捕食本能をダイレクトに刺激する「泳がせ釣り」。
アジやイワシなどの小魚が暴れ、「ジーッ!」っとリールから糸が引き出されドラグ音が響く。竿先が大きく引き込まれる瞬間は、釣り人にとって最高の興奮を味わえる時間です。
この釣りは、ヒラメやブリ、カンパチといった青物など、誰もが憧れる大物を手にできる可能性を秘めています。
本記事では、泳がせ釣りに必要なタックルから、様々な状況に対応できる仕掛け、釣り場ごとの攻略法までを網羅した、まさに【完全保存版】として徹底的に解説します。
これから泳がせ釣りを始めたい方はもちろん、さらなる釣果アップを目指す方もぜひ参考にしてください。
泳がせ釣りの魅力と釣果が出やすい理由
泳がせ釣りとは、その名の通り、アジ、イワシ、キスといった生きた小魚をエサ(活きエサ)に用い、それを主食とする大型の肉食魚(フィッシュイーター)を狙う釣り方です。冷凍エサや切り身、ルアーなどとは一線を画し、「生命」そのものをエサとすることで、ターゲットが持つ捕食スイッチを強制的にオンにさせる、極めて効果的な釣法といえます。
その最大の魅力は、なんといっても「大物との遭遇率の高さ」です。普段はルアーに見向きもしないようなスレた個体や、非常に用心深い老獪な大型魚も、目の前で弱々しく、あるいはパニック状態で逃げ惑う活きエサの姿には抗えません。これは、フィッシュイーターのDNAに深く刻まれた捕食本能をダイレクトに刺激するためです。
また、アタリの出方にも独特の興奮があります。多くの場合、まずフィッシュイーターがエサを視認し、接近することで活きエサが逃げ惑う「前アタリ」が現れます。竿先が小刻みに震えたり、ラインが不自然に張ったり緩んだりするこの静かな時間は、これから始まる死闘の序曲であり、釣り人のアドレナリンが最高潮に達する瞬間です。そして、ターゲットがエサを咥え、本格的に捕食行動に移った瞬間に訪れる「本アタリ」。「ジーッッ」というドラグ音と、合わせたときに竿が根元から絞り込まれるような衝撃は、泳がせ釣りでしか味わえない醍醐味です。
ターゲットとなる魚種は非常に多彩です。砂地の海底に潜むヒラメやマゴチ、驚異的なスピードとパワーで回遊するブリ(ワラサ、イナダ)、カンパチ、ヒラマサといった青物、岩礁帯に潜む高級魚のクエやハタ類、そしてマダイやスズキ(シーバス)など、そのフィールドに生息するほぼ全てのフィッシュイーターがターゲットになり得ます。
泳がせ釣りのタックル選び【竿・リール】
泳がせ釣りは、いつ何時、想定外の大物がヒットするか分からない釣りです。そのため、タックル(道具)には相応のパワーと信頼性が求められます。ここでは、後悔しないためのタックル選びについて、より深く掘り下げて解説します。
竿(ロッド)
竿は、釣り場の特性、使用するオモリの重さ、そしてメインターゲットのサイズを考慮して選ぶことが極めて重要です。
釣り場に合わせた竿選び
- 堤防・磯: 汎用性が高いのは3号〜5号の磯竿です。4.5m〜5.3mの長さがあれば、足場の高い場所でも扱いやすく、十分な遠投性能も確保できます。穂先がしなやかなモデルは、活きエサの動きを殺さずに自然に泳がせ、繊細な前アタリも明確に捉えることができます。一方で、根が荒い場所や大型青物が頻繁に回遊する場所では、一気に引っ張り上げるためのパワーがあるショアジギングロッドのMH(ミディアムヘビー)〜H(ヘビー)クラスも選択肢に入ります。
- 筏やカセ:筏やカセからの泳がせ釣りにはシーバスロッドや、青物用のショアジギングロッドがオススメです。
磯竿のように長い竿だと、カセに立てかけたり、置いておく際に邪魔になってしまいます。
シーバスロッドや、青物用のショアジギングロッドなどの方が、取り回しがしやすく使いやすいかと思います。 - 船: 船からの泳がせ釣りでは、水深や潮の速さに応じて80号〜150号程度のオモリを使用することがあります。そのため、オモリ負荷に対応した7:3調子や6:4調子の船竿が主流です。ヒラメ狙いでは穂先の感度が高いもの、青物狙いでは強烈な突っ込みに耐える胴の強さ(バットパワー)が重視されます。
初心者の方におすすめな竿
初心者の方にはシーバスロッドもおすすめです。
釣り竿としての需要も高いため、竿のしなやかさや硬さの幅が広く、価格帯も幅がありるため、比較的安価なものからあります。
堤防からのちょい投げ釣りなど汎用性も高いため、初心者の方は一本あると便利だと思います。
リール
リールは、大物との長時間のファイトを支える心臓部です。特にドラグ性能が釣果を大きく左右します。
スピニングリール
- 番手: 堤防や筏からは4000番〜6000番、船からの本格的な大物狙いでは8000番以上が目安となります。
- ギア比: ゆっくりとエサを泳がせ、魚に違和感なく食い込ませたい場合は「パワーギア(PG)」、手返し良く仕掛けを回収したり、魚に主導権を与えずに一気に寄せたい場合は「ハイギア(HG、XG)」が適しています。初心者はまず、バランスの取れたノーマルギアか、巻き上げトルクのあるパワーギアから始めると扱いやすいでしょう。
- ドラグ性能: ドラグとは、ラインが一定の力で引き出されるとスプールが逆回転し、ライン切れを防ぐ機能です。大物の急な突っ込みに対応するため、滑らかに作動し、微調整が効く高性能なドラグを搭載したモデルを選びましょう。
ベイトリール
- 船釣りや、根掛かりの多い岩礁帯での釣りで強みを発揮します。構造上、スピニングリールよりも巻き上げる力が強く、太いラインをたくさん巻けるのが特徴です。カウンター付きのモデルであれば、正確なタナを再現しやすく、ヒラメや根魚狙いで非常に有利になります。
堤防や筏・カセからの釣り、初心者におすすめなのはスピニングリール
堤防や、筏・カセからの釣りの場合には、スピニングリールがオススメです。
また初心者の方の場合には、ベイトリールは比較的取り扱いが難しく、ラインが絡まってしまったりしやすい点も注意が必要です。
ラインシステム
道糸とリーダー(ハリス)の組み合わせも重要です。
- 道糸: 現在の主流は、感度が高く直線強度に優れたPEラインです。堤防や筏からは3号〜4号、船からは3号〜6号を目安に、ターゲットのサイズに合わせて選びます。
- リーダー: 根ズレや魚の歯からPEラインを守るために、必ず結束します。素材は、根ズレに強いフロロカーボンが一般的です。太さは、PEラインの4倍程度のポンド数(例: PE3号なら12号/約50ポンド)を目安に、長さは1.5m(矢引)から、長い場合は5mほど取ります。結束方法は、強度と安定性から「FGノット」や「PRノット」が最も信頼できます。
持参必要な道具(大物が釣れた際に必要)
タモやギャフ
泳がせ釣りでは大物を狙うため、竿でシャクって足元まで魚を引き上げることは難しいです。
そのため、取り込みの際にタモやギャフが必要になります。
タモは比較的直径の大きなものを使わないと魚が入りません。
また、特に堤防や磯など足場が高いところで釣りをする際は、柄の長さがかなり必要になります。
有名な沖堤防などでは海面までの高さが10m近くなる釣り場もあるため、釣り場に合わせた柄の長さが必要になるため、あらかじめ釣り場の情報を見ておく必要があります。
フィッシュグリップ
フィッシュグリップは、魚がつれた際に針を外すときや、魚を持ち上げて移動させる際に必要になります。
プライヤー
プライヤーは魚の口から針を外す際に必要になります。
泳がせ釣りでは、魚を丸呑みにしていることも多いためそのような場合には使うことはありませんが、口に針がかかっているときにはプライヤーを使用します。
魚や針も大きいので、手で外すのは少しつらいので忘れずに持参しましょう。
血抜き用のナイフやハサミ
釣れた魚を美味しく食べるためには、血抜きはしたいところ。
エラから血を抜くために、細身のナイフなどがあるといいと思います。
また、青物は釣れてすぐに内臓を出すことで、アニサキスなど寄生虫リスクも減らせるため、持っていきたい道具です。
魚をおさえるためのタオル
血抜きの際や、針を外す際などタオルはあると安心です。
暴れる際に下に敷いたり、目隠しをして魚を落ち着かせるときにも約に立ちます。
魚によっては、ヒレやエラ蓋が鋭かったりもするので、こちらも持参しましょう。
泳がせ釣りの代表的な仕掛け
フィールドの状況やターゲットの習性を読み解き、最適な仕掛けを選択することが、泳がせ釣りマスターへの道です。ここでは代表的な仕掛けを、その運用方法まで含めて詳述します。
胴付き仕掛け
概要
ざっくりと言うと、サビキ釣りの仕掛けのようなイメージです。
幹糸の一番下にオモリ、途中にエダスと呼ばれる糸を出して針を結ぶ、最もオーソドックスな仕掛けです。
構造がシンプルなためトラブルが少なく、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
構成
道糸 → スナップ付きサルカン → 胴付き仕掛け(幹糸+エダス+針) → オモリ
メリット
タナ(水深)を正確にキープしやすい。
海底から少し浮いた層を狙えるため、根掛かりを回避しやすい。
船釣りや、足元から水深のある堤防で有効。
運用のコツ
オモリが着底したら、糸フケを取り、ゼロテンション(張らず緩めずの状態)か、少しだけ底を切った状態でアタリを待ちます。
エダスは幹糸に絡まないよう、適度な張りがあるフロロカーボンハリス(5号〜10号、長さ40cm〜80cm)を使うのがおすすめです。
エレベーター仕掛け
概要
まずオモリだけをポイントへ投げ込み、後から道糸に活きエサの付いた仕掛けを滑らせて送り込む、非常に合理的な仕掛けです。
構成
道糸の先端に大きめのスナップ(オモリ用)→ 道糸の途中にパイプ天秤や大型シモリ玉を通し、その先にハリスと針を結んだ仕掛けをセット。
メリット
活きエサに負担をかけずに遠投できるため、エサが弱りにくい。
ナブラと呼ばれる、小魚が肉食魚に追われて一斉に跳ねているようなタイミングでもとても有効。
活きエサがオモリを中心に、ある程度自由に泳ぎ回れるためアピール力が高い。
広大なサーフからのヒラメ狙いや、遠浅のポイントで沖の深場を狙う際に絶大な効果を発揮します。
運用のコツ
オモリを投げ込んだ後、竿を立てて道糸を張り気味に保つのが基本です。
これにより、活きエサがスムーズに水中へ滑り落ちていきます。
幅広い深さを狙える反面、狙いたいタナにうまく生き餌が泳いでくれるかは、生き餌となっている魚の気分次第です。
表層ばかり泳いでいるときには、ハリスに少しだけ軽めのオモリをつけて沈んでいくように調整したりします。
アタリは竿先に出るだけでなく、ラインが急に走り出すことで示されることも多いです。
ウキ仕掛け
概要
円錐ウキや棒ウキを使い、設定したタナで活きエサを漂わせ、潮に乗せて広範囲を探る仕掛けです。
構成
道糸 → ウキ止め → シモリ玉 → 円錐ウキ(または遊動ウキスイベル) → シモリ玉 → からまん棒 → サルカン → ハリス → 針
メリット
潮の流れを利用して、人間の気配が届かない沖のポイントを攻めることができる。
視覚的にアタリがわかる(ウキが沈む)ため、分かりやすい。
青物などの回遊魚狙いや、タナが頻繁に変わる状況に強い。
運用のコツ
ウキの浮力は、オモリとエサの重さを考慮して、ギリギリで浮く程度に調整するのがキモです。
これにより、フィッシュイーターがエサを咥えた際の抵抗が少なくなり、食い込みが良くなります。
ウキ止め糸の位置を調整することで、狙うタナを自由自在に変えられます。
ヒラメ狙いの特化仕掛け
概要
海底に潜むヒラメを攻略するために特化された仕掛けです。孫針(まごばり)の存在が最大の特徴です。
構成
捨て糸式の胴付き仕掛けや、天秤仕掛けがベース。親針に加え、ハリスの途中に小型の孫針(トリプルフックなど)がセットされています。
メリット
ヒラメ特有の下からの噛みつくようなアタリに対応できる。
親針が外れても孫針が掛かるため、フッキング率が劇的に向上する。
運用のコツ
親針を活きエサの鼻や上顎に、孫針は背中や腹ビレの付け根に浅く刺します。オモリが着底したら、頻繁に底を取り直し、常に海底から50cm〜1mの範囲をキープするように心がけます。「ヒラメ40」という格言があるように、前アタリがあっても焦らず、じっくりと食い込ませてから大きくアワセを入れるのが定石です。
ヤエン仕掛け
【概要】
アオリイカを釣るための仕掛け。
【仕組み】
まず、針を付けずに鼻カンなどで固定した活きアジを自由に泳がせます。魚がアジを抱き、走り出したら、道糸を通して掛け針(専用フックなど)を滑らせて投入し、フッキングさせるというものです。
【メリット】
エサに針が付いていないため、イカに与える違和感が最小限。
【注意点】
高度なテクニックと、専用の道具(ローラー付きの竿受けなど)が必要となり、上級者向けの釣法といえます。
完全フリー仕掛け
【概要】
オモリを一切使用せず、活きエサの重さだけで仕掛けを沈めていく、最もシンプルな仕掛けです。
【仕組み】
道糸 → サルカン → ハリス → 針 のみのシンプルな仕掛け
【メリット】
活きエサが最も自然に、かつ広範囲を泳ぎ回れるためアピール力が抜群。
魚に与える違和感が皆無に近い。
運用のコツ
潮の流れが穏やかな湾内の堤防、特に筏やカセからの釣りで絶大な効果を発揮します。
筏やカセは、足元にロープなどもあるため絡まないように注意が必要。
魚が左右へも自由に動くことができるため、近くの釣り人の仕掛けと絡まってしまわないように注意が必要です。
他の釣り人が近くで釣りをしている場合には行わないか、置き竿せずに常時どこを泳いでいるか確認しながら釣りをするようにしましょう。
泳がせ釣りに適した活きエサ
泳がせ釣りの成否は、8割が「活きエサの鮮度と種類」で決まると言っても過言ではありません。
エサの種類と特徴
アジ
アジはまさに「万能エサ」。生命力が強く、入手も比較的容易。ヒラメ、青物、マダイ、根魚と、ターゲットを選びません。10cm前後の豆アジから20cm近い中アジまで、狙う魚のサイズに合わせて使い分けます。
イワシ
マイワシやカタクチイワシなど。鱗がキラキラと輝き、そのフラッシング効果はフィッシュイーターの食い気を猛烈に刺激します。特に青物狙いでは特効薬となることが多いですが、非常に弱りやすいのが難点です。
サバ
アジよりも動きが激しく、アピール力は強力です。大型の青物やサワラ狙いで実績が高いエサです。
キスやハゼ:
ヒラメやマゴチ狙いの切り札的存在。砂地を好む習性があり、海底付近で非常に効果的です。
その他
コノシロ、サッパ、ウグイ(銀兵)なども優れたエサになります。
また釣り場現地でよく釣れる小魚(ネンブツダイ、チャリコと呼ばれる小型のマダイ、イサキ、スズメダイなど)や小型のイカも良い餌になります。
泳がせの餌に向かない魚
泳がせに向かない魚としては、カサゴやメバルがあります。
これらは、普段から岩の隙間で過ごしたり、障害物に隠れて生活している魚です。
泳がせ釣りはある程度、魚が自由に動けるようにしているため、これらの魚は障害物の隙間に入り込んで根掛かりしてしまい釣りになりません。
また、アイゴやゴンズイのような毒針を持つ魚も控えたほうが良いと思います。
エサを活かす技術
釣具店で購入したエサも、釣り場で釣ったエサも、元気な状態でキープすることが釣果への最短ルートです。
アジやイワシなどを餌として活かしておくのは意外と難しい。
バケツに入れて置いておくとすぐに弱って死んでしまいます。
生き餌を活かしておくために、「水の汚れ」「水中の酸欠」「異常水温」には注意が必要となります。
ここでは、具体的な活かし方を紹介していきます。
1番楽なのはメッシュのチャック蓋付きバケツやスカリに入れて海に沈めておくこと
ロープをつけて、海にドボンと入れておけるバケツやスカリは細かな管理がいらずとても楽です。
また、魚自体もストレスが少なく元気な状態が保ちやすいです。
デメリットとしては、釣り場の足場が海面に近くないと使いづらいことです。
また、エサ交換時にバケツやスカリを一旦引き上げることも少し手間と感じる方もいるかもしれません。
陸上で管理する場合
- 活かしバケツとエアーポンプ: 必ずエアーポンプ付きの活かしバケツ(アジカンなど)を使用します。酸欠はエサが弱る最大の原因です。
- 水温管理: 夏場は水温が上がりやすいため、凍らせたペットボトルを浮かべるなどして、急激な水温変化を避ける工夫が必要です。逆に冬場は、水の温度が低くなりすぎて魚が仮死状態になってしまいます。それほど時間が経ってなければ、新鮮な海水と水を交換することで、水温が上がり元気を取り戻します。
- 水の交換: 定期的に新鮮な海水と交換し、アンモニア濃度が上がるのを防ぎます。魚の種類によってはヌメリなどが強いものもあります。そのようなヌメリはエラ呼吸時に妨げとなり弱ったり、死んでしまう原因となります。特に小さなバケツの場合や、夏場、冬場の水交換は比較的頻繁に行う必要があります。
生き餌への針の付け方
エサの付け方一つで、泳ぎ方や生存時間が大きく変わります。
鼻掛け
エサが最も自然に、かつ長く泳ぎます。
最もオーソドックスな付け方で、どんな状況にも対応しやすいです。硬い鼻軟骨の部分に針を通すのがコツです。
背掛け
エサが上下方向に不規則な動きをしやすく、アピール力が高まります。
ただし、エサの自由を奪うため、弱りやすい側面もあります。
タナをキープしたい胴付き仕掛けなどで有効です。
上顎掛け
口を開けたまま泳ぐため、水の抵抗を受けて弱りやすいですが、フッキング率は高いとされます。
手返し重視の釣りや、短時間勝負の場合に用います。
【釣り場別】泳がせ釣りのポイント
同じ釣り方でも、場所が変われば攻め方も変わります。それぞれのフィールドの特性を理解しましょう。
堤防
最も手軽に挑戦できるフィールドです。
狙うべきポイント
潮の流れが当たる堤防の先端、船の通り道、海底の地形が変化する「カケアガリ」は一級ポイントです。夜釣りであれば、常夜灯の明かりが作る光と影の境目にベイトフィッシュが集まりやすく、それを狙って大物が回遊してきます。
時間帯
朝夕の「マズメ時」は、魚の活性が最も高まるゴールデンタイムです。この時間帯を逃さず集中して攻めることが重要です。
船
遊漁船を利用することで、陸からは届かない沖のポイントを攻めることができます。
船長の指示
船長は魚群探知機や長年の経験から、最も釣れる可能性の高いタナを指示してくれます。この「指示ダナ」を正確に守ることが、船釣りにおける絶対のルールであり、釣果への一番の近道です。
オマツリ対策
周りの釣り人と仕掛けが絡まる「オマツリ」は、船釣りでは避けられないトラブルですが、仕掛けの投入を周りと合わせる、潮下に仕掛けを入れるなどの配慮で減らすことができます。
筏・カセ
筏・カセは、泳がせ釣りの絶好の舞台です。
泳がせ釣りでは大型の魚をターゲットにしています。
水面までが遠い堤防では、仮に魚が釣れても、引っこ抜くように魚を上げることはほぼ不可能です。
そのような場合に、柄の長いタモや、同じく柄の長いギャフ(引っ掛けるモリのような道具)が必要になり取り込みが大変です。
筏やカセは、足場はほとんど水面と同じ高さのため、取り込みが圧倒的に楽でバラシにくく最適です。
ポイントの宝庫
筏やカセは、魚が集まりやすいように計算された場所に設置されています。筏を固定しているロープやアンカー周辺、養殖棚の際、そして筏直下の掘れ込んだカケアガリなど、全てが一級ポイントになり得ます。
ダンゴ釣りやサビキ釣りとの相乗効果:
三重県の筏で盛んな「チヌのダンゴ釣り」は、泳がせ釣りと非常に相性が良いです。ダンゴによってアミエビやサナギが撒かれると、まずチヌや小魚が寄ってきます。そして、その小魚を捕食するために、マダイやスズキ、さらにはヒラメや青物といった大型フィッシュイーターが、そのおこぼれを狙って回遊してくるのです。ダンゴ釣りをしている人の近くで泳がせ釣りをすることで、思わぬ大物に出会えるチャンスが格段に上がります。
仕掛けの自作で釣果アップ
市販の仕掛けは手軽で便利ですが、泳がせ釣りを極めるなら「仕掛けの自作」は避けて通れない道です。
自作のメリット
- コスト削減: 長い目で見れば、市販品を買い続けるより経済的です。
- 最適化: 釣り場の状況(潮の速さ、水深)、ターゲットのサイズ、使用するエサの大きさに合わせて、ハリスの太さ・長さ、針のサイズ・形状を完璧にアジャストできます。この僅かな差が、釣果に大きな違いを生みます。
- 信頼性: 自分の手で、納得のいく結び方やパーツで組んだ仕掛けは、大物が掛かった際の安心感や釣れたときの喜びが違います。
自作レシピ例(ヒラメ・青物兼用)
- ハリス: フロロカーボン 8号〜12号を1m〜1.5m
- 親針: 伊勢尼 12号〜15号 や チヌ針 7号〜10号
- 孫針: トリプルフック 4号〜6号 や チヌ針 5号〜7号
- 結束: 親針を結び、孫針は移動できるように編み込みや結びコブで固定する。サルカンとの結束は、信頼性の高いクリンチノットや漁師結びなどで行います。
まとめ
泳がせ釣りは、ただエサを付けて待つだけの釣りではありません。
活きエサという「生命」を介して、水中の大物と対話する、非常に戦略的で奥深い釣りです。
刻一刻と変化する潮の流れを読み、ターゲットの習性を考え、無数の選択肢の中から最適なタックルと仕掛けを導き出す。
その思考のプロセスこそが、この釣りの面白さの本質です。
そして、あのドラグ音と強烈な引き込みを体験したとき、あなたはきっとこの釣りの本当の魅力に気づくはずです。
泳がせ釣り、他のメインの釣りと並行して行える点も大きな魅力です。
当サイトでは、三重県の筏釣り・カセ釣りが行える店舗を検索、予約が可能です。
特に青物は回遊してくるか、来ないかで釣果は大きく変わります。
回遊状況を確認するためには、ターゲットとなる魚がその釣り場で釣れているか?というのをチェックする必要があります。
堤防では、あまりそのような釣果確認が難しいですが、筏やカセでは船頭さんが日々の釣果情報を写真付きで乗せているところが多いです。
当サイトでは、その情報をもとに独自でデータを集計し見やすい表やグラフ化しています。
ぜひ自身にあった釣り場を探してみてください。
安全には最大限配慮し、ライフジャケットの着用を忘れずに、素晴らしい釣りを楽しんでください。